2017年09月21日

ある夜の・・・・お話。。。。

抱えていたプロジェクトが、無事に終わった。

 別の支店から新しくやってきた部長が、彼をこの企画のチーフに選んだ。
チーフとして企画に携わるのは、初めてのことだった。
小さな企画なので、日常業務の一つとも言えるようなものだった。
それでも、任されたこの企画が無事に終わり、
ホッとして、体が軽くなるのを感じていた。
このところずっと出ていた、妙な咳も、全く出ていないのに気がついた。

「憑き物が取れたとは、こんな感じだろうか。」
仲間と打ち上げをするでもなく、トボトボと帰り道を歩きながら、
そんなことを考えていた。

 スーパーの惣菜コーナーで、半額になった弁当を選び、振り向いた時、
いつもは気にしない日本酒の棚に目が行った。
普段は、晩酌もしないので、お酒のコーナーは、意識されない棚だった。
『幻の酒 〇〇 新種 生絞り』
「このPOP間違えてやがる。“新種”じゃなくて“新酒”だろ。」
にやりと笑い、やり過ごそうかとも思ったが、妙に気になり、
「たまには、いいか。」と、小瓶を弁当と一緒にレジに運んだ。

 昭和なアパートの部屋に戻り、弁当をレンジで温めている間、
まじまじと小瓶のラベルに見入っていた。“かぼちゃ”の絵が描いてある。
日本酒ではなく、“かぼちゃ”から作った、焼酎だったのか、はたまた、
ハロウィン仕様の小瓶だったのか。元来、酒に詳しくないので、あちこち読んでもよく解らない。
「飲めば、解るか。」
グラスというような洒落たものはなかったので、いつも使っているコップに、その液体を入れてみた。
乳白色の液体からは、知っている日本酒の香りより、さらに甘い、はちみつを連想させるような香りがした。
一口舐めてみる。アルコール類を口にした時の、かあっと熱くなる感じはしたが、すっと、喉に入っていくので、ついつい、継ぎ足して飲んでいった。
体はどんどん軽くなり、溶けていくようだった。
気が付くと、窓の外から、開けるでもなく、何かが入ってきた。
白い大きな物体は、ゆらゆらと近づいてきた。
今まで見たことのない物、もしかして、こいつに会ったのは、人類で、自分が初めてかも知れないと、
なんとなく、直感的にそう思った。
その物は、彼を抱き上げると、スクウィーズし始めた。
お酒のせいで、体の輪郭の感じも解らなくなってきていたので、痛みも感じなかった。
絞られることで、彼は、自分が肉体から分離していくのを感じた。
絞り出てきた彼は、ポトンと、空になった小瓶の中に入った。
瓶の中から見ると、抜け殻になった自分の体は、黒ねこになり、部屋の中を歩き回っていた。
「自分は、あの酒の棚に戻されて、誰かが栓を開けてくれるまで、じっと待ち続けるにちがいない。」
彼は、妙に落ち着いた気持ちで、そんなことを考えていた。
オバケ・かぼちゃ・ねこ.JPG
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西荻窪 ニヒル牛さん とんぼ玉のハロウィン飾り 納品しました。


posted by say-go at 22:22| 東京 ☀| Comment(0) | ハロウィン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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